昭和の終わり頃の話で恐縮だが、この頃から平成の中頃にかけて、ホテルの有料チャンネルの売上げがピークを迎えようとしていた。
初期の送出装置とコンテンツは、業務用VHSビデオデッキ(再生専用機)とVHSカセットに収録されていたアダルト作品と一般映画作品だ。
もっと以前は、シブサン(3/4インチ)業務用再生ビデオデッキと3/4インチビデオカセットで、ほぼ日活ロマンポルノであった。
初期の送出装置とコンテンツは、業務用VHSビデオデッキ(再生専用機)とVHSカセットに収録されていたアダルト作品と一般映画作品だ。
もっと以前は、シブサン(3/4インチ)業務用再生ビデオデッキと3/4インチビデオカセットで、ほぼ日活ロマンポルノであった。
切れ目の無い番組放映をする装置「ビデオ交互運転機」の誕生
さて、当初の送出装置はビデオテープによるものだったため、必然的に巻き戻し時間が発生する。しかも業務用ビデオデッキと言えど、リピート運転をしていると、ヘッドの摩耗が著しく、半年ももたない。
そこで2台のビデオデッキを交互に運転して、切れ目の無い番組放映をする装置が開発された。
所謂「ビデオ交互運転機」である。
AデッキからBデッキへと自動で切り替える機器だが、素人考えではAデッキの再生が終わったら
Bデッキに切り替えれば良いだけと思うのだが、そう簡単には行かない。
再生ビデオデッキとVHSカセットテープの関係
ここで少し、ビデオテープについて考えてみて欲しい。
ビデオテープは、30分60分120分などの決められた規格があった。一方ビデオ作品はこれら規格ぴったりに終わる訳でもなく、
ビデオテープも多少余裕を持った長さになっていた。
再生作品の放映が終わると黒画面になる。業界用語ではビービー、ブラックバースト信号と言うものだ。
それも暫く再生していると、無信号のノイズ画面になる。テープの規格に対して作品が短いと、このノイズ画面がテープの最後まで何分も続く。
テープの最後は透明になっており、光りを感知してデッキが停止する。そして自動巻き戻しが始まる。
ビデオテープは、30分60分120分などの決められた規格があった。一方ビデオ作品はこれら規格ぴったりに終わる訳でもなく、
ビデオテープも多少余裕を持った長さになっていた。
再生作品の放映が終わると黒画面になる。業界用語ではビービー、ブラックバースト信号と言うものだ。
それも暫く再生していると、無信号のノイズ画面になる。テープの規格に対して作品が短いと、このノイズ画面がテープの最後まで何分も続く。
テープの最後は透明になっており、光りを感知してデッキが停止する。そして自動巻き戻しが始まる。
Aデッキの再生が終わったらBデッキと言っても、作品の終わりか、黒画面の終わりか、テープの終わりかになるが、
ビデオデッキが感知できるのはテープの終わりである。
その為長い時間ノイズ画面が続くと、視聴者からブーイングが来る。これでは有料チャンネルには適さない。
切れ目の無い番組放映をするのは難しい
一方当時のレジャーホテルでは、リクエストビデオが流行っていた。客室から要望のあったビデオ作品をフロントデッキで再生し、客室テレビの指定チャンネルで視聴するものだ。
こうした施設にレンタルするビデオカセットは、荒療法ではあるが、作品終了を確認して、カセットテープを開き、
テープの一部の磁性体をセロテープなどで強制的に剥がし、透明生地のみにしたケースもある。
勿論業務許諾をとった作品である。
ビデオレンタルショップで借りた物を、オーナーが勝手にダビングして大量にストックして、
リクエスト目次を客室に置いていたケースもある。
こうしたテープは、作品が終わってもテープが終わるまでノイズ画面が続く。
当然、著作権法違反で摘発のニュースが当時良く流れていた。
ビデオ交互運転機。うまいタイミングで次の作品に切り替える工夫とは?
話をビデオ交互運転機に戻してみよう。切り替えのタイミングとして一番良いのは、作品が終わったらすぐ次の作品に切り替わるのが理想である。
そこでビデオテープの作品終わりに特殊な信号を入れ、これを感知して切り替えるビデオ交互運転機が開発された。
そしてこの信号のことを「Q信号」と言う。それ以降、購入した業務レンタル用ビデオテープにはQ信号が入っており、
一般レンタルショップのテープやダビングした物は対応出来ない。
Q信号について
Q信号は、ビデオテープの音声ラインに一定時間、1,000Hzの音声信号を記録したものだ。最初からQ信号入りのテープは良いのだが、以前のテープは入って無いため、自作で入れた経験がある。
他のQ信号入りのテープからダビングしても出来たと思うが、1,000Hzを生成してみたかった。
今ではネット上からいくらでも入手出来るが、当時は個人の8ビットパソコンをいじって1,000Hzを作った。
パソコンで作った音源は正弦波ではなく矩形波だったが、テストした結果旨く感知してくれた事を思い出す。
音声トラックへ入れたQ信号は、当然ではあるがテレビで視聴していても音が出てしまう。
しかも、Aデッキの作品が終わった後、Q信号を拾ってから、Bデッキに再生モードに入るように信号を送ると
そこでタイムラグが発生してしまう。
この問題を解決するため、その後信号は映像の中に入れていた。
具体的には垂直同期信号の黒帯の中だ。
昔のブラウン管テレビをご存じの方であれば、テレビの画面を上にずらすと黒い帯が現われる。
ここに白い点線のように現われる。これにより信号音は出ないし、作品終了の直前に入れると、
タイムラグ無しにスマートな切り替えが出来る様になった。
余談だが、アナログテレビ時代の初期の文字放送も、この垂直同期信号の帯を利用していた。
Q信号エピソード
当時Q信号は一般的に1,000Hzが使われていた。所謂ピー音である。ところが、某ビジネスホテルで、ある放送局のサービス会社が納入した交互運転機があった。
こちらは毎月のソフトレンタルのみ行っていたところ、クレームが来た。
放映作品の途中で止まり、Bデッキに替ってしまうとのこと。
早速駆けつけてみると、何度再生しても同じ箇所で止まって切り替わってしまう。
作品を再生して見てみると、火事の現場で消防車のホースから勢いよく放水している。
そして暫くすると止まる。放水のアップシーンはシューと言う比較的高い音で数秒間続く。
どうもこの音を感知して誤動作しているとしか思えない。しかし1,000Hzの音とは違う。
そこで、システム納入業者に尋ねたところ、4,000Hzで作動する事が判明した。
たまたまとは言え、こんなこともあるのかと思った。
やはり、垂直同期信号の黒帯に入れるのがベターであるとつくづく思った。
レーザーディスクの交互運転機の時代
平成に入った頃から、業務レンタルのアダルト作品はVHSテープからレーザーディスクの時代になった。
そしてレーザーディスクの交互運転機も開発された。
パイオニアからV520という業務用再生機が発売されると、これを交互に運転する交互運転機が数社から出てきた。
こちらはデッキから出るTTLレベルの運転中信号を検知して切り替えている。
しかし中には初期再生で作品時間を記憶して、二回目からは作品の終了直前にBデッキ側に再生信号を送り、作品終了と同時に切り替わる優れ物のまで現われた。
またLDデッキ3台をコントロールする順次運転機なる物まで開発された。
レーザーディスクの詳細情報については、こちらをご覧下さい。
「業務用アダルトディスクの裏面の秘密」
そしてレーザーディスクの交互運転機も開発された。
パイオニアからV520という業務用再生機が発売されると、これを交互に運転する交互運転機が数社から出てきた。
こちらはデッキから出るTTLレベルの運転中信号を検知して切り替えている。
しかし中には初期再生で作品時間を記憶して、二回目からは作品の終了直前にBデッキ側に再生信号を送り、作品終了と同時に切り替わる優れ物のまで現われた。
またLDデッキ3台をコントロールする順次運転機なる物まで開発された。
レーザーディスクの詳細情報については、こちらをご覧下さい。
「業務用アダルトディスクの裏面の秘密」
交互運転機の終焉
こうした交互運転機が姿を消したのは、CS放送による空からの衛星放送番組受信に徐々に切り替わった事による。また、レーザーカラオケ終焉期には、使われなくなったオートチェンジャーに、業務用アダルトレーザーディスクを入れて、
延々と順次再生するコントローラーまで登場した事を知る者は、今や少ないだろう。
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