ホテルにテレビは必要?
「今時、テレビって見ます?」
若いビジネスホテル経営者から聞かれた言葉である。
そう言えば、家でもテレビを見る時間はずいぶん減ったように思う。
代わりにパソコンでYouTubeを見ている時間が増えている。
テレビ番組も予約して、空いた時間に視聴するスタイルになって来た。
要するに、決められた時間に放映される番組は敬遠され、自分の時間・サイクルに合ったスタイルで、情報を入手したいと考えるようになった。
先日、脳科学者の茂木健一郎氏が日本のテレビ番組に苦言を呈していた。
「『芸能人』や『タレント』が出るのは全体の30%以下とかにして欲しい」と。
番組予算がない民放にとって、致仕方ない面もあろうが、低俗に走りすぎて予算の有るNHKの番組と大きな格差が生じ、テレビ離れの一因になっていると思う。
かつて我々の業界にも、「ホテルにテレビは必要?」という究極の議論があった。
ホテルのテレビと言えば、有料チャンネル(Pay-TV)サービスが、コロナ禍の影響もあり、すごいスピードで無くなって来ている。
有料チャンネルは売り上げベースで言うと、その約90%をアダルト番組が占めていた。
そうしたアダルトビデオも昔と違い、ネットの普及で見たい時に簡単に見られる時代になった現在、わざわざホテルで一晩1,000円の視聴料金を払う客は珍しいのである。
それでは、今後の客室テレビは一般放送だけで良いのではないかと思われていた矢先、その客室テレビさえも不要ではないかと言う発想が出てきた。
テレビ番組の受信が不要であり、テレビ自体がなくても良いと言っているのではない。
あくまでもホテル客室に大画面のテレビモニターは必要と言う事です。
それでは、どう利用するかと言えば、宿泊客所有のスマホを有線・無線接続して、スマホの機能を大画面で楽しめるサービスを提供する事に徹する。
また、ネット配信機能のあるテレビモニターとする。
テレビの見逃し番組もネットで配信されている現在、今や多くの若者は時短再生で見ている。
個人的にネットフリックスなどの動画配信サービスを契約している宿泊者も増えている状況では、テレビ番組が見られないことを不自由に思う人も少なかろうと思われる。
それでは、客室テレビをやめて、モニターにすれば良いのかと言うと、販売台数の差による価格面から、にわかに変わることはないだろうと予測される。
テレビにもLANポートが有り、リモコン操作もできる。一方LANポート付きモニターはまだまだ希少だ。
何より、ホテル側のメリットとしては、アンテナとテレビがあることで徴収されるNHK受信料の支払いから解放される事。
規模に応じて、稼働の如何に拘わらず一定額を徴収されるため、年間のご負担額で考えると大変大きいと思われる。
昔は、NHKの受信料支払いを嫌ったホテルオーナー様から、NHKのみ視聴できないようにして欲しいとの要望もあった。
現在では、テレビ番組そのものの必要性を疑問視する。時代は変わってきた感がある。
弊社もアンテナ共聴設備を手掛け、ホテル仕様のテレビを販売し、更にCS番組を提供している立場上、客室テレビを残し、専門チャンネルだけでも契約して頂きたいのだが、現状を見ると多くのCSサプライヤーには、ホテルからの解約の電話が殺到している事を聞くと、衛星受信もネット配信に取って代わられる日も近いのかもと思ってしまう。
その時々に即した提案をしていく以外に活路は無いのかと、つくづく思う。
ホテル自主放送チャンネル(無料)の視聴制限機能の魅力
PAY-TV(共聴系)にしろVODシステムにしろ、有料チャンネルの視聴率の低迷が続いています。
平均視聴率が9%を切る現状では、課金システムによる収益性は見込めません。
つまり、多額の費用を投資して立派なシステムを導入したところで、売上が見込めないのであれば導入の意味が有りません。
それでは、映画やアダルトなどの有料自主放送をやめれば良いのですが、お客様からの苦情が出るのではとの思いから、システム撤去に躊躇されているホテル様も多い事と思います。
現状の有料自主放送を無料化して、サービス向上の一助とする考えも浮かんできます。
または、「ビデオパックルーム」として、提供したいと考えられるかもしれません。
その際、大きな障壁になるのが「アダルトチャンネルの視聴禁止ルームの設定」です。
最近のホテル様では、Wi-Fiは完備されていても、有線LANは無いホテル様も多いかと存じます。
ネットワークが有れば、客室のテレビをコントロールして視聴禁止を掛ける事も可能と思いますが、客室にはアンテナケーブルのみの場合はどうでしょうか?
個別の視聴禁止なんて無理と思われている方も多いと思われますが、実は出来るんです。
自主放送は、リモコンボタンひとつにつき8chまで放映可能で、禁止ルームでの画面は「ただいまこのチャンネルは放送されていません」
と表示されます。
フロントにはノートパソコン1台で客室ごと、フロアごと、グループごとに禁止設定可能です。
このシステムを構築するには、パソコン1台と自主放送用デジタル変調器(指定機種)があれば可能です。
このように最新システムでは、デジタルテレビの機能とデータ放送の機能をフルに利用する事で、客室工事無しの低予算で個別客室管理が実現しました。
デジタル変調器は指定機種にかぎり制御可能です。
その為、アナログ変調器から乗り換えられる時がチャンスです。
ご予算等お問い合わせください。
4K/8K放送番組をホテル客室で視聴できるようにするには
3000MHz帯という非常に高い周波数の4K/8K番組の信号を各客室テレビまで一定のレベルで伝送するためには、従来のテレビ共聴方式では到底無理です。
ホテルに限らず、大型の建築内の各テレビモニターへの4K/8K放送番組表示の場合、同軸ケーブル(アンテナ線)の距離によるもの及び中間にある分岐・分配器や直列ユニットなどの機器により信号減衰が激しい為、従来の共聴ラインに流しても末端まで信号レベルが保てません。
最近の大型建築物では、すでに4K/8K放送を考慮して配線方式をレベル差が大きくなり易い直列ユニット方式から、スター配線方式とし、末端にはテレビ端子を使うなど施工方法が変わってきているようです。もっともレジャーホテル系は、将来を見越していた訳ではありませんが、それなりの事情により昔からスター配線が基本です。
また、現在主流のS-5CFBといった同軸ケーブルも、一般家庭は別として、幹線は7CHFLなど昔は馴染みの太いケーブルに逆戻り現象が現れているようです。
アンテナからヘッドエンドまでの距離が有る場合は、10Cケーブルも使われていると聞きました。将来的には館内も光ケーブルが主流になるかも知れません。
アンテナ共聴のやり替えが困難である事を考慮すれば、将来はアンテナで受信した信号をヘッドエンドでIP化しサーバーへ取り込むなどして、客室テレビの裏などに設置した4K・8対応STBを経由してモニターへ番組を出画するようになるかも知れません。
コンピューター化された現在のテレビでは、アンテナケーブルで視聴するよりも、すでに多くの4Kコンテンツを配信しているNetflixやNTTぷらら等のIPTVをネットワークケーブル(LAN)で視聴する方法に軍配が上がるかもしれません。
ホテル映像情報システムの動向!
従来ホテル映像情報システムの中核を占めていたPAY-TV(有料チャンネル)の視聴売上の推移を見ていますと、平成27年暮れには平均視聴率が9%を下回っている状況にあるようです。
かつて利益を生んだシステムが、今やお荷物化しているのが現状です。
そうした中、今年から単に有料チャンネルのシステムではなく、ホテル本来の映像を使った各種情報伝達を前面に出したシステムの開発が進むものと期待しています。
今後のホテル映像情報システムはどうなるか?
今、業界の中では「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と囁かれています。
地上放送デジタル化以降、自主放送のデジタル化やそれを上回るVODシステムの導入が進んできました。
しかし、今年はこの流れに異変が生じてくると予測しています。
原因は二つあると考えています。
一つは、9%を下回った有料チャンネル視聴率の低下。
もう一つはスマホの普及に伴い個人契約している低価格VODサイトの普及があると思われます。
それぞれ見ていきますと、このところの視聴率低下は、共聴方式であれVOD方式であれ大差は有りません。
この原因は、Wi-Fi等客室ネットワークの普及により、気軽にインターネットに繋がる環境になった事。
特にアダルト番組を中心とした有料ビデオなどは無料で視聴できるサイトがいくらでもある事などが原因していると考えられます。
そのような環境下で、わざわざお金を払って見る宿泊者は当然少なくなって当り前と言えるでしょう。
一方、映画の視聴は圧倒的にVODが向いていると言えます。一般的にはホテルに設置したビデオサーバーにアクセスするのですが、ここが大きく変わろうとしています。
最近は若い人を中心に、スマホで見られる「dTV」とか「Netflix」などの格安VODサイトが人気を集めています。
ホテルで一晩VODを楽しむ費用が有れば、こちらは一か月間の視聴が可能なのです。
アダルト作品こそありませんが、作品数も圧倒的に多く、ホテルが提供するVOD作品の比ではありません。
こうしたサイトがミラキャスト/MHL対応機器により客室大型テレビで楽しめる時代がすぐそこまで来ています。
まさに、「コンテンツを持ち歩く時代になった」と言えると思います。
ホテル側でする事は、お客様のスマホなどがスムーズに接続出来る機器や環境を整える事になりそうです。
以上の様な理由で、「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と言われています。
今まで各VODメーカーは、如何に映画などの作品が充実しているか競って来たきらいが有りますが、今は、視聴の低いVOD作品を前面に出しても魅力に感じて頂けない事から、都会ではインバウンド対策も含め、ホテルインフォメーションや周辺情報の案内など、VODも楽しめる様々な情報伝達システムというフレーズで売込みが行われているようです。
今後のホテル映像情報システムは、VOD以外で役立つ機能をどこまで取り入れる事が出来るかで、明暗が分かれるかもしれません。
《以降は、現状のホテル映像情報システムについて、前回の内容を加筆修正しました》
「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と書いた後では有りますが、少しだけVODの現状について述べます。
以前の記事で、「これからのシステムでは、VODシステムであれデジタル変調器方式であれ、客室端末機(STB)は消えてなくなり、客室はスッキリとデジタルテレビのみになります。」と述べましたが、必ずしもそうとばかりではなさそうです。
STBは非常に小型化され、テレビの後ろに張り付けられた状態で存在するかもしれません。STBを使わないVODシステムは、テレビのアクトビラ機能を使っています。
アクトビラフルの機能を持ったテレビであれば、基本的にテレビにネットワークを接続するだけでOKです。
ただし、年式・機種によっては難しいものもあるようで、事前チェックが必ず必要になります。
また、付属のテレビリモコンを使用する場合は、買い替えなどで機種が替わるとボタンポジションや操作の仕方が変わってくるため、取扱い説明が複雑になります。
もちろん、専用リモコンをご用意することで解決しますが、その分ご負担も増える事になります。
放映するコンテンツから見ますと、STB仕様だとOKでもアクトビラ方式では特定の映画作品の許諾が取れず、放映できない問題もあります。
コンテンツ作品については、各メーカーで作品数、洋画・邦画・コメディ・アダルトなどの比率が違い、ランニングコストも違ってきます。単に作品数が多いだけよりも、内容の充実したメーカーを選ぶべきだと考えます。
現在、メーカーにもよりますが作品のハイビジョン化が進んでおり、その比率が多いこともメーカー選択条件として有利に働くと思います。
ハイビジョン化は、映画の場合許諾交渉が難しいようですが、アダルトコンテンツは比較的早い段階で全作品HD化が進むと思われます。
HD化されても、懸念されていたネットワークのトラフィック上の問題はさほどないようです。
H.264コーデックになった事や、皮肉な事に視聴率が低迷している事が幸いしているとも言えます。
もちろん幹線がギガビット仕様であることは言うまでもありませんが・・・・
課金は、各フロアに設置した課金機(視聴権販売機)に自身のルームナンバーを入力するだけですが、ルームナンバーを間違えるとフロントへ連絡して訂正してもらう必要があります。
もちろん、事前に視聴禁止ルーム設定されていると購入はできません。
また、従来のチケット販売機やプリペイドカード販売機でも対応出来ますが、操作性やランニングコストの面で不利になる場合もあります。
ワンポイントアドバイス③ (ネット上に散在する過去データーの処理)
ホテル様が掲載されているページは、ネット上の色々な場所で出て参ります。
そこでちょっと気付いた事がありましたので、ご紹介いたします。
ホテル様のお名前をいろいろな検索エンジンで検索してみると気付くことですが、内容が替わったにもかかわらず、以前の内容で掲載されている例がよく見受けられます。
特に地域の施設一覧などは、何時の内容か疑いたくなるものまであります。
本来は、掲載ホームページ側の問題でしょうが、かといって間違った内容がいつまでも掲載されていれば、当然ホテル様にとってはマイナス宣伝となってしまいます。
特にホテル様の掲載されているページは、利用者はもとより同業他社、出入の業者など実に多くの人々の目に留まっていると思われます。
従って、早めのチェックと間違いを発見したときは直ちに当該サイトへ連絡を取り新しい情報の提示と訂正をお願いすることが重要かと思われます。
特に価格改定、サービス内容の変更、改装工事などの際は、早めの対応をお勧めしたいものです。
中には、ホテル名を変更したにもかかわらず、(ホテル様のオフィシャルHPは当然変更されていますが)旧ホテル名で掲載されている例もありました。
ホテル発行の印刷物、看板はすぐに変更されますが、あちこちにちりばめられたホームページは見落しがちです。
掲載ページが多い場合は大変ですが、根気良く自社の掲載ページをチェックして頂ければと思い、老婆心ながら記載させて頂きました。
ワンポイントアドバイス②(節電対策)
出張してホテルを利用した時、気付くことがあります。
それは、トイレの便座ウォーマーの事です。
真冬のウォーマー機能のない便座へ腰を下ろした時の、飛び上がりそうになる冷たさも問題ですが、夏場の便座ウォーマーの異常な暖かさは、いったいこのホテルは節電対策を考えているんだろうかと疑いたくなります。
ヒヤッとしないだけの温もりがあればいい訳で、一度客室の便座に手を当てて適温調整なさることをオススメします。
ヒーター回路の消費電力は大きいので、調整するとかなりの節電効果が期待できると思います。
ワンポイントアドバイス①(防災備品対策)
あるメーカーさんから、新型のLED客室常備灯の案内を頂きました。
早速取引先のビジネスホテル様を訪ねて設置状況をお聞きしたところ、ホテル様により対応が様々でした。
あるオーナー様は、点灯試験と乾電池の液漏れチェックを各フロア毎自らチェックされ、記録に残しておられました。
また、あるホテル様では、全客室に有る事は知っているが、チェックした記憶が無い。または、前回チェックしたのが何年前か良く覚えていない。
などのご返事が意外と多くありました。
中には、そもそも客室常備灯を設置していないホテル様もあり、早速見積依頼を頂きました。
最近のホテル用LED常備灯は、小型で連続点灯も20時間以上とスマートで高機能になっています。地震や雷、風水害など災害の多い日本ですので、小さな防災対策も怠るわけにはいきませんね。
デジタル共聴方式のペイテレビと放映コンテンツの現状
CS再送信などによるデジタル共聴方式のペイテレビは、少々出遅れているようです。
原因は二つあります。
ひとつは、今までデジタル変調器(OFDM変調器)がアナログ変調器と比べ価格が高かった事です。
これまで毎年倍々ゲーム的に下がってきましたが、ここに来てやっとアナログ変調器に近づいた感があります。
二つ目は、CS放送(スカパープレミアム)のHD化移行が大変遅れ、その間に番組の統廃合や衛星の乗換えなどもあり、折角の顧客をみすみすVODメーカーに取られた状況で、HD化移行の期を逸した事は否めません。
現在においても、CS放送の受信契約はアダルト系各番組供給会社さん共減少に歯止めが掛からない状態です。
また最近は、別の要因もあります。
アダルト番組に限って言えば、最近HDDプレーヤーなるコンテンツ送出システムが数社から出回っており、時代に逆行したようなシステムではありますが、このシステムの普及如何ではCSアダルトチャンネルが脅かされる事態になりかねない状況です。
現状では画質に於いてハイビジョン化が遅れているとか、番組ガイドが無い等、グレード面では改良の余地があります。
しかし、中にはハイビジョン化を進め毎時のプログラムガイドも用意され、素人目にはCS放送と何ら遜色ないものまで現れています。そしてSC放送と比較して安価である事から、秘かに浸透しています。
また、レジャー系のホテルを中心にVODシステムの機能の中に、フロントに置かれた改造STBを使用してアダルト等の番組をジャンル別に複数チャンネルデジタル変調器を使用して垂れ流し放映している例が増えている事もネガティブな要因になっています。
VODサーバー内のコンテンツとは言え、追加料金無しでのサービスの為、番組供給会社さんにとっては頭の痛いサービスが登場した事になります。
こうした様々な逆風が吹いている中ではありますが、CS番組供給会社には何らかのアイデアを出して巻き返しの為頑張って欲しいところです。
ここで、CS再送信デジタル共聴方式のペイテレビについて簡単に触れておきます。
もちろん、客室はデジタルテレビのみでSTBは必要ありません。
テレビにネットワーク(LAN)を接続することも、基本的には必要ありません。
デジタル変調器を管理コンピュータで制御するだけで、アンテナ共聴ラインを使い、フロント管理コンピューターから客室テレビに視聴制限を掛ける事が可能な画期的なシステムです。(一部メーカーの機種では設定出来ないテレビもあります)
もちろん、課金のためにはネットワークに接続された課金機(視聴権販売機)は必要です。
デジタル変調器の機能を使って、VODの様な簡単ホテルガイドを流す事も可能です。
操作はVODの場合とほぼ同じです。
放映番組はCS放送の場合はHDデジタル変調器で有れば客室までハイビジョン伝送されます。
画質は格段に良くなるため、有料であれ無料であれ今後のテレビ自主放送は徐々にこの方式になると思われます。
ペイテレビの業者による定額制と視聴率の低下
これからのペイテレビは、VOD方式かデジタル共聴方式か、現状では悩ましい状況です。
一方運用面から見ますと、業者による委託設置かシステム買取かの問題ですが、視聴率が下がっている現状では、以前のようにホテル様と売上げ配分する委託設置のケースはほぼ無くなっており、最低ミニマム(売上げ保証)を設定した契約が一般的で、業界では定額制と呼んでいます。
業者は、運営に必要な経費を確保しますが、ビデオ売上げでまかなえない経費は、ホテル様のご負担となります。
当然業者にとっては以前の様な利益を望むべくもなく、ホテル様のまとまった出費を負担軽減することで契約を確保しているというのが現状です。
もっとも小規模のホテル様の場合は、システムの買取を進められるケースが多くなっています。
運用益はホテル様に100%取って頂くのが狙いですが、収益性が低いシステムになった為、リスクはホテル様で取って頂くという考え方とも言えます。収益性が低い原因は、取も直さず視聴率の低下に有ります。
視聴率が下がっている原因は何か?
様々な要因が考えられますが、ひとつはホテルの無線LAN環境が整って来た事により、持参しているスマホやノートパソコン更にはタブレットを持参しているケースが多くなり、これらの利用時間が増えている事。
それは、貸し出し用ノートパソコンの利用がめっきり減っている事からも言えると思います。
ペイテレビで放映しているようなコンテンツは、はっきり言ってネット上で無料ででもゲット出来る時代ですし、その術を知らない利用者のみが、1000円払って見て頂いていると言うのが現状かもしれません。
二つ目の要因は、多チャンネルのBSデジタル放送が、ホテルで視聴できる事が一般的になって、深夜まで楽しめる環境になった事。その他、アダルト番組が昔ほどめずらしいものでは無くなったとか、草食系の宿泊者が増えた?とか、色々考えられます。
いずれにしても、今後視聴率をアップさせる事は至難の業の様に思われます。
そこへ消費税の増税です。切りの良い1000円を変更できないとすれば、確実に収入減になってしまいます。
弊社では、ご導入に際して売上や消費税の変動、システムの耐用年数・機器のメンテナンス等、あらゆる想定のもとシュミレーションをしっかりして、より確率の高い試算をご提示させて頂くよう努力しています。
出来れば、システムご購入の方向でお勧めしていますが、委託設置にも柔軟に対応いたします。
ホテル内の無線LAN(Wi-Fi)サービスについて
ローカル(瀬戸内海経済圏)な話題で恐縮ですが、1昨年は3年に1度の「瀬戸内芸術祭」が開催され、多くの外国人がやって来ました。昨年岡山では、ESDユネスコ世界会議が開催され、外国からのお客様が多数見えられました。
それに伴って、シティ・ビジネスホテル様での話題は、「海外からのお客様を迎えるには、Wi-Fi環境は必須ですね。必ず要求される。有線LANだけでは対応できない。」と言った声です。
既に多くのホテル様でWi-Fi設備は設置済みの様ですが、一部にキャリア系アクセスポイントでカバー出来ているとお考えの方もおられる様です。海外の方のためには、キャリア系アクセスポイントはほとんど役に立たず、ホテル独自のWi-Fi設備が必須になります。
VODシステム用の有線LAN設備とは別系統の無線LAN設備がある事が理想と思われます。
更に、バンケットルームや会議室のあるシティホテルでは、多人数の同時使用に何処まで耐えられるかチェックしておく必要があると考えます。
折角、宴会・会議室フロアにWi-Fi設備をしたのに繋がり難い様では、利用者に十分満足して頂けずWi-Fi設備ありを謳い文句にしていた場合は、クレームになる事も考えられます。
また、偏りを無くすためデーター量の制限を掛けるなど、高度な設定を要求される場合もあります。
また、「ダークホテル」と検索するとお分かりのように、Wi-Fiネットワークの脆弱性を突いたウイルスも日本で数多く発見されているようです。
Wi-Fiシステムのセキュリティについては、十分考慮したシステムを組む事をお勧めします。
ホテルの簡単・安価なLANシステム(TLCモデム)について
ホテルのインターネット環境の提供に付いては、既にほとんどのホテル様で何らかの対策がなされていると思います。
ここでご紹介するのは、まだ完璧な設備にはなっていないホテル様に朗報です。
ホテルのネット環境といえば、UTP(LAN)ケーブルを敷設して他の客室へはアクセスできないVLANを組むのが一般的です。しっかりしたファイアーウォールが設置されていると完璧でしょう。
しかし、特段のファイヤーウォールも無ければ、VLANにもなっていないホテル様も意外と多い様です。
VODシステムを導入しているホテル様でさえ、こうした例は見受けられます。
今回は、TLCモデムを使った新しいネットワークシステムのご紹介です。「TLC」とはTV Line Communication の略で、既存のテレビ共聴設備を活用してデータ通信を実現するシステムの呼称です。
電力線を利用したHD-PLCの技術を応用したもので、TLCはサン電子株式会社による造語です。
テレビ共聴の同軸ケーブルを利用したシステムは、一般にRFモデムと言って以前からありました。
従来のRFモデムを使用したシステムは、高価なセンターモデムが必要で、VLANにはなるものの上り通信速度が極めて遅く、一般のメールなどは問題ないのですが、大きな画像ファイルや動画ファイルを送るには適していないのが現状です。
TLCモデムを使用したネットワークシステムは、同軸ケーブルを使用しますが仕組みは全く違います。
まず、親となるセンターモデムがいりません。上り下りの回線スピードは同じで、最大で70Mbpsと高速です。
TLCモデム自体が親にも子にも設定できます。1台の親に子機設定したTLCモデムが16台まで接続出来、更にスイッチングハブなどを利用して、全客室に設置する事が可能になります。
設置はアンテナ線を分配するなどして非常に簡単に設置できます。しかも安価にシステムを構築でします。
現状はとりあえず配線の容易な、あるいはどうしても必要な客室のみネットワークに対応させて、あとの客室は様子見とか予算が出来てからと考えているホテル様も多いのではないでしょうか。
TLCモデムは、そうしたホテル様に持って来いのシステムです。
特に、リゾートホテル旅館様では、客室でインターネットの利用はきわめて少ないと思われますが、それでもいざと言う時にどうにも対応出来ないようでは、これからの競争に不安が残るところでしょう。
普段はインターネットサービスはしていなくても、必要なお客様の投宿にも対応出来、しかもコストがあまり掛からないと言うのが理想だと思います。
TLCモデムは、必要なお客様には貸し出し(事前に分かっている場合は、施設担当者でチェックインまでに設置しておく)等の対応が取れます。
もちろん必要な台数のみストックしておけば予算も少なくて済みます。
ただし、どの客室でもサービスできるよう事前の接続試験はしておく必要はありますが・・
TLCモデムを活用したネットワークは、完璧なVLANシステムのようなものではありませんが、子機間のアクセスを遮断することはできます。これにより十分利用できるシステム構築が可能です。
新型TLCモデム
TLCモデムにも弱点があります。共聴機器でもブースターなどがあるとそのままでは通信できません。
この問題も分波器によるバイパス回路を付加することで解決します。
また、使用周波数が2~28MHz帯(Wavelet OFDM変調方式)を使用しているため、ケーブルテレビのインターネットを利用している施設では信号がぶつかり合うのと、技術力のある施工会社でなければ、上り流合雑音の抑止がうまく出来ない場合は、ケーブルテレビ局や付近の利用者に迷惑を掛けることも考えられます。
また、集中方式のカラオケやマルチメディアシステムの上り信号とも競合しないか、または共存できるか事前にチェックしておく必要があります。
こうした点を考えると、安価で安定した通信手段ではありますが、高度なテレビ共聴の知識と技術を持った業者でなければ、設置上問題を起こす可能性もあります。
少なくとも、スペクトラムアナライザーで計測監視できるレベルは要求されるのではないでしょうか?
また、最近増えた利用例として、アナログ監視カメラからネットワークカメラへの乗換えに利用されます。
TLCモデムシステムを活用すれば、同軸を利用したアナログ監視カメラを、配線の張替えなしでネットワークカメラに置き換えることが可能になります。
PoE機能をもたせPLCユニットであれば、ネットワークカメラ付近に電源が不要になり、UTPケーブルのような距離制限が無いため、トンネルや河川監視といった長距離伝送可能になります。
その他にも活用の可能性は色々考えられます。
詳しくはメーカーのTLCモデムサイトをご覧下さい