“ネットワークが繋がりにくい”に取り組んだ歴史

共聴と映像・音響を主に活動してきた弊社が、ネットワーク構築分野に取り組んだのは、平成20年頃だったと思う。

それより以前は、第一興商の集中カラオケのシステムに10BASE2(テンベースツー)を使用したものが出現したが、施工技術のみで通信の中身まで理解することはなかった。
しかし、これが弊社が手掛けた最初のネットワークだった。

独自取組みのきっかけは、ネットワークカメラの出現だ。
遠隔監視に使用されたのはNTTのADSL回線で、1秒間に一コマ程度の画像を転送する事が出来た。
これまでのアナログ画像もエンコーダーを使用して、転送する事が出来た。

本格的なネットワーク構築の取り組み

その後、本格的に取り組んだのは、ホテルにおけるネットワーク構築だ。
これまでアナログ共聴を利用していたPAY-TVシステムに、後発のネットワーク業者によるVODシステムが加わり、ホテルのネットワークサービスが本格的に普及した要因の一つとなった。
VODシェア確保のために、ホテル館内ネットワーク(客室有線LAN)は無償で提供するケースが増え、一気に普及が進んだ。
弊社もおかげで施工技術を磨くきっかけになったが、核心部分を触る事は中々出来ず、パラメーターの設定程度であった。

しかし、ネットワークに詳しいスタッフもいて、徐々に核心部分を理解する事が出来るようになった。
その後、有線から無線へとシフトし、弊社もVOD関連のWi-Fiの他に、弊社独自でWi-Fiシステムを手掛けるようになった。

今では、多くの実績に裏打ちされた技術力が弊社の武器になっているが、当初は通信プロトコルが中々理解できず、手こずった思い出がある。
また、音響分野でも機器設定は、ネットワーク上で行うのが今では一般的になっており、ネットワーク音響に対する広範な知識と技術力は弊社にとって切り離す事が出来ない分野となっている。

Wi-Fi施工初期の調査では、スマホ2機種、iPad、ノートパソコン、果てはゲーム機などを持ち込み、それぞれで通信がうまく取れているか調べたものだが、今では専用の調査機器とソフトで、電界強度を平面図に落とし込み、ネットワークが繋がりにくいエリアがないか入念に調べる事が出来る。
そうした無線LAN環境調査(サーベイ)も、弊社の得意分野になった。

ネットワークが繋がりにくいの解決

ネットワーク構築を手掛けると、様々な問題に直面する。
特にネットワークが繋がりにくいネットワークが遅い回線がよく切れるなどの問題が多い。
原因は様々ですが、ネットワーク機器は日進月歩で新たな機能を持った新機種が次々と出てくる。
問題の現場では、繋がりにくい末端の機器を新調したが、肝心のルーターやハブは以前のままのケースが良くある。
要求する通信速度と接続回線数は増えているにもかかわらず、通信回線上に一つでも古い低機能の機器があると、それがネックとなり、全体に障害をもたらす。

Wi-Fiが繋がりにくくなったケ-ス

Wi-Fiシステムを施工した現場で、当初は何の問題もなかったが、ある時からWi-Fiが繋がりにくくなったと連絡が有り、調査したところ、街中で周りのビルから飛び込んでくるWi-Fi電波が非常に多くなっていたケースもあった。
安い機器は一見価格のわりに性能が良く見えても、電波耐性品質の低い物や、要・不要な大量の受信電波を選別処理するCPUの処理能力の低い物が存在しており、通信技術が進歩すると、機器の設計時には想定されていない新しい規格の電波や、増加した電波量に影響されて、不調を起こしやすくなってしまう。
同じ業務用でも少し良い物にしておく方が、買い替えサイクルを長くできるため、長期的にコストパフォーマンスが良くなるケースもある。

アクセスポイントの設置場所にも配慮が必要

アクセスポイントは、ホテル客室内設置を除き、廊下やホールでは天井に取り付けるケースが多いのだが、見た目を気にする場合も多い。
その場合は点検口近くの天井裏へ設置するケースもある。それによって電波の到達距離は若干短くなる場合もあるようだ。

その解決策になるかどうかはわからないが、ある建物で天井からいきなりアンテナだけが覗いている写真の様な設置例を見かけた。まさに珍風景である。
勿論、弊社の施工ではないが、理にかなっている反面、新機種が出るスパンの短いアクセスポイントをこのように設置して、機種更新の際はどのようにするのか興味のあるところではある。



公開日:2022年12月14日 | 最終更新日:2022年12月15日
カテゴリー よもやま話