黎明期のLED照明は試行錯誤の連続だった

10年前のLED照明

今から約10年前、LED電球が開発され、徐々に実用化されだした頃の話である。
あるレジャーホテルのオーナーから、改装するに当たり、客室のすべての照明をLEDにしたいとの相談を受けた。まだ何処のホテルもLED照明など採用されていない時代だった。
弊社は当時AVシステムには自信があったが、照明施工、しかもオールLEDとなると、二の足を踏んだ。
ただ、弊社がお受けしなければ、多分施工できる業者は当時いなかったと思う。
今は失効しているとは言え、昔照明コンサルタントの資格を取得したことがある事と、LEDと言えば弱電分野だと捉え、研究しながらで良ければできる限り力になりますと言うことで全室LED化の施工に着手した。
当時のインテリアデザイナーも、LED照明の色温度や演色指数配光角については知識がなく、全くのお手上げ状態だった。

当時のLED電球は、まだ海外製が多く、国内大手メーカーの製品は非常に少なかった。
LED照明器具に至っては、ダウンライトと一部のブラケットがLED化された製品があったものの、デザイン性は低く、選択余地はほとんど無い状況だった。

LEDの調光

そんな中で最大の問題は、LEDの調光である。
ホテルのベッドパネルは、所謂レインボーパネルで白熱電球仕様だ。当然LEDの調光は出来ない。
色々実験するも、数少ない調光対応のLED電球は閾値が高い。即ち調光していくと、十分調光しきれない内に突然消えてしまう。最悪なのは、フリッカー現象を発症してしまう。
世の中にLED対応のベッドパネルの無かった時代である。LED電球の電球色と言っても色味の悪いものが多い。要するに使い物にならない物が多かった。

現場は、レジャーホテルの客室である。安易な妥協は出来ない。
当時非常に発色の良いLEDバーの取り扱いをしており、これを間接照明に使用できる確信があった。
そして、技術支援をして頂けるブレーンに色々アドバイスを頂き、何とか目途が付いた。
ここから少々専門的な内容になりますが、既存のベッドパネルの調光は位相調光で、LED照明の調光は、基本PWM調光である。



○位相調光 従来の白熱電球の調光方式。トライアックを使用し、交流電源の正弦波のうち一部分を切断することで明るさを調整する。昔からある調光制御方式。
○PWM調光 LED照明などの調光方式。PWM調光は、パルス幅変調を利用した調光制御方式。
点滅周波数を高くし人の目でちらつきは認識できない。

LEDバーはPWM調光でないと調光できない。
そこで位相調光の変化をマイコンで読み取り、その値をPWM信号に変換してやれば、LEDのスムーズな調光が出来るとのことで、実験を重ねながら、こうした機能を持った特注インターフェイスBOXの制作に成功した。
国内メーカーのダウンライトには、位相調光仕様とPWM調光仕様の物があったので、4線式PWM調光を採用し、インターフェイスBOXに信号線を取り込む事で、スムーズな調光が出来る確証を得た。
当時のLED照明器具は、1年後には製品型番が無くなるなど、メーカーも試行錯誤の時代だったと思われる。
今でこそ、LEDダウンライトの位相調光の性能が飛躍的に上がって来たため、位相調光でも比較的スムーズな調光が可能になっているが、10年前はひどかった。
また、LED照明はワット数が低く、灯具の少ない回路の調光には、別途何らかの負荷を掛ける必要も発生するなど、非常に困難な施工であったが、何とかオーナーの信頼を獲得できた。
現在は、様々なメーカーがLED照明の調光に対応した照明コントローラーが作られている。
また、位相調光に対応したLED照明器具・LED電球共、非常に性能アップしたため、当時ほどの苦労はないと思われる。

ここ10年間で、LEDに対応したベッドパネルも試行錯誤しながら色々なタイプが現れた様だが、その大半は位相調光対応のLED照明器具の性能アップに助けられ、また位相調光をPWM信号に変換する機能を持った特殊なLEDテープライト専用電源BOXなどが現れたことにより、基本的に従来の位相調光仕様のコントロールボックスが大半の様に思われる。


より簡易に規格化されたLED調光制御

そして、これからのLED照明制御は「DALIシステム」が主流になってくるかもしれない。
照明器具または回路にDALIコンバーターを入れる必要があり、そこにDALI信号線の配線工事も発生します。
これにより、照明器具ごとの制御が簡単に行えるようになるため、昔の苦労は何だったのかと思える時代が来る事でしょう。
また、弊社取り扱いのBrightSignを活用して、得意分野の映像や音響に同期させた照明システムを組むことも可能になってくると思われる。
これからの照明は、益々我々の分野に近づいて来ている予感がする。



2021年2月19日 | カテゴリー よもやま話