ナイトパネルとベッドパネル

ナイトパネルとは、ホテルのナイトテーブルやベッド宮に取付けられたスイッチパネルの事です。
“コントロールパネル”とも言われている。

それでは、ベッドパネルとは?
ベッドパネルは、おもにレジャーホテルのスイッチパネルの事を差す。
どちらも時代の変遷に伴い、様々なタイプのパネルが登場して、また消えた歴史が有る。


見かけなくなったナイトパネルのボタン

先ずは、ナイトパネルのお話です。
シティホテルのツインベッドの間にあるナイトテーブルには、スタンドランプやブラケットが取付けられている。
そこに照明スイッチ、目覚まし時計などが有るのが基本的パネル仕様だ。
昔のパネルには、NHKを含む地元AM/FMラジオ数局の選択ボタンと音量ボタンがあった。

なぜ見かけなくなったのか、ご存じですか? 
勿論、携帯の普及とともに、それらの利用者が減ったことも有るでしょう。
昔は、チューナーで一括受信してアンプにより、スピーカー線で客室に配信されていた。
しかし、需要低迷と時代の流れとともに、業務用AMチューナーなどの製造が終了してしまった。
その後は、AM/FMラジオもテレビ信号も1本の同軸ケーブルで送られる様になった。
その為、AM/FMラジオも各客室のナイトパネルに組み込まれる様になり、テレビ用アンテナ線を分岐してラジオに接続していた。
当然、アンテナ共聴は広帯域になったが、この当時のホテル共聴は、UHFチャンネルやBSチャンネルは、今は無きVHF帯に変換して送信していたため、特に問題にならなかった。
ところが、BS-IF帯送信になると、流石にAM帯からBS-IF帯まで対応する共聴機器は少なく、更にBS-IF帯もチャンネル増加とともに徐々に高域化したため、AM帯対応は見捨てられてきた。
そうしたことから、改装の度にAM/FMラジオ機能は、パネルから消えていったと考えられる。
エアコンのボタンも同様に、エアコンの個別設置とともに、パネルから消えていった。


多機能パネルが故の苦悩

ナイトパネルには、非常にシンプルな物から多機能な物まで、様々な仕様が有った。
もう30年以上前になるが、時はバブル真っ只中、あるシティホテルの全面改装が有り、非常に多機能なナイトパネルがベッド宮に組み込まれた。
照明・目覚まし時計・エアコンスイッチは勿論、BGMや果ては客室テレビの操作機能まで持たせたナイトパネルが設置された。設置したのは、大手AVシステム施工業者で特注オリジナルパネルだ。

この時、ふと頭をよぎったのは、このパネルのメンテナンスは、これを施工した業者でないと誰も手を出すことは出来ない代物だと思った。
案の定、テレビの進化とともにパネルからの操作は出来なくなった。BGMの機能も不能になった。
機能しないボタンを残したまま、長い年月が過ぎたが、マイナスイメージは免れない状況だった。

最後はどうなったか、ベッドメーカーに依頼してシンプルなナイトパネルを制作して、取り替えることになり、施工は弊社で実施するも、予算の関係で一度に施工することは出来なかった。
シンプルなナイトパネルに戻すにも多額の費用が発生する事から、必要以上の多機能パネルは考え物だとつくづく思った。


特注ベッドパネルで発生したトラブル

次に、レジャーホテルのベッドパネルについて
こちらも、時代とともに様々な仕様のベッドパネルが登場した。
関東・関西の業者が中心だったが、地元岡山にもかつて専門業者がいて、中四国地域で導入事例があった。

有線放送ボタンやアナログ目覚まし時計、更には小さな液晶テレビが埋め込まれており、エンボス加工されたシートタイプのスイッチパネルには、左右にデコレーションが有るなど、遊び心満点の豪華なベッドパネルであった。
一般ホテルのナイトパネルとの相違は、有線放送ボタンが有ること、そしてベッドパネル自体の照明ボタンが有ること。綺麗に光る自照型が一般的だった。

ベッドパネルは見える部分の事で、その下には必ず照明コントローラー本体が有り、初期型は幅広のリボンケーブルで結ばれていた。最新の物はUSBまたはLANケーブルで結ばれている。
昔は、ベッド宮天板へ操作面を少し傾斜した大型ベッドパネルを取付けていた。

初期には傾斜の緩いパネルが多く、この上にビールやジュースを置き、こぼすケースが良くあった。
その為、下に設置したコントローラー本体を故障させてしまう。

当時、このようなベッドパネルを設置して、ホテルオーナーから言われたことを思い出す。
傾斜が緩くてビールなどのグラスが置ける製品を作ったことはメーカー・施工業者の責任であると、こっぴどく叱責された。勿論修理費など頂ける訳がなかった。

当時は差別化から、オーナーの要望を取り入れた特注品が多かったので、製造者責任を思い知らされた。
ベッドパネルを自社でデザインする時は、かなり立ち上がったパネル仕様にした。

その後、専業ベッドパネル業者から、大手コンピューターメーカーが製品化するようになり、LEDの普及から、レインボーパネルというパネル自体が七色に変化するタイプが一世を風靡した時代があった。未だにレジャーホテルでよく見掛ける事と思う。
レインボーパネルはどちらかというと、華やかなベッドパネルであったため、シックな客室をデザインするデザイナーの中には、シンプルに纏めたオリジナルベッドパネルをデザインし、囲い込み現象が起きた。
使いたくてもデザインした設計事務所の物件以外には使えない状況が発生した。

しかし、そこは百戦錬磨のレジャーホテル業界である、ロゴ無しや少しデザイン変更したものが出現し、最近のベッドパネルは以前ほど存在感を主張しないタイプの物が増えた。
それはLED照明が主流になり、一灯ずつ個別に操作する物から、予めパターン化されたシーン設定機能が好まれるようになって、シンプルなスイッチパネルで対応出来る様になったことが大きいと考えている。

「10年前のLED照明と今時の超多機能ベッドパネル」次号で詳しくお話しします。お楽しみに!



2021年1月21日 | カテゴリー よもやま話