「今時、テレビって見ます?」
若いビジネスホテル経営者から聞かれた言葉である。
そう言えば、家でもテレビを見る時間はずいぶん減ったように思う。
代わりにパソコンでYouTubeを見ている時間が増えている。
テレビ番組も予約して、空いた時間に視聴するスタイルになって来た。
要するに、決められた時間に放映される番組は敬遠され、自分の時間・サイクルに合ったスタイルで、情報を入手したいと考えるようになった。
先日、脳科学者の茂木健一郎氏が日本のテレビ番組に苦言を呈していた。
「『芸能人』や『タレント』が出るのは全体の30%以下とかにして欲しい」と。
番組予算がない民放にとって、致仕方ない面もあろうが、低俗に走りすぎて予算の有るNHKの番組と大きな格差が生じ、テレビ離れの一因になっていると思う。
かつて我々の業界にも、「ホテルにテレビは必要?」という究極の議論があった。
ホテルのテレビと言えば、有料チャンネル(Pay-TV)サービスが、コロナ禍の影響もあり、すごいスピードで無くなって来ている。
有料チャンネルは売り上げベースで言うと、その約90%をアダルト番組が占めていた。
そうしたアダルトビデオも昔と違い、ネットの普及で見たい時に簡単に見られる時代になった現在、わざわざホテルで一晩1,000円の視聴料金を払う客は珍しいのである。
それでは、今後の客室テレビは一般放送だけで良いのではないかと思われていた矢先、その客室テレビさえも不要ではないかと言う発想が出てきた。
テレビ番組の受信が不要であり、テレビ自体がなくても良いと言っているのではない。
あくまでもホテル客室に大画面のテレビモニターは必要と言う事です。
それでは、どう利用するかと言えば、宿泊客所有のスマホを有線・無線接続して、スマホの機能を大画面で楽しめるサービスを提供する事に徹する。
また、ネット配信機能のあるテレビモニターとする。
テレビの見逃し番組もネットで配信されている現在、今や多くの若者は時短再生で見ている。
個人的にネットフリックスなどの動画配信サービスを契約している宿泊者も増えている状況では、テレビ番組が見られないことを不自由に思う人も少なかろうと思われる。
それでは、客室テレビをやめて、モニターにすれば良いのかと言うと、販売台数の差による価格面から、にわかに変わることはないだろうと予測される。
テレビにもLANポートが有り、リモコン操作もできる。一方LANポート付きモニターはまだまだ希少だ。
何より、ホテル側のメリットとしては、アンテナとテレビがあることで徴収されるNHK受信料の支払いから解放される事。
規模に応じて、稼働の如何に拘わらず一定額を徴収されるため、年間のご負担額で考えると大変大きいと思われる。
昔は、NHKの受信料支払いを嫌ったホテルオーナー様から、NHKのみ視聴できないようにして欲しいとの要望もあった。
現在では、テレビ番組そのものの必要性を疑問視する。時代は変わってきた感がある。
弊社もアンテナ共聴設備を手掛け、ホテル仕様のテレビを販売し、更にCS番組を提供している立場上、客室テレビを残し、専門チャンネルだけでも契約して頂きたいのだが、現状を見ると多くのCSサプライヤーには、ホテルからの解約の電話が殺到している事を聞くと、衛星受信もネット配信に取って代わられる日も近いのかもと思ってしまう。
その時々に即した提案をしていく以外に活路は無いのかと、つくづく思う。
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