今、業界の中では「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と囁かれています。
地上放送デジタル化以降、自主放送のデジタル化やそれを上回るVODシステムの導入が進んできました。
しかし、今年はこの流れに異変が生じてくると予測しています。
原因は二つあると考えています。
一つは、9%を下回った有料チャンネル視聴率の低下。
もう一つはスマホの普及に伴い個人契約している低価格VODサイトの普及があると思われます。
それぞれ見ていきますと、このところの視聴率低下は、共聴方式であれVOD方式であれ大差は有りません。
この原因は、Wi-Fi等客室ネットワークの普及により、気軽にインターネットに繋がる環境になった事。
特にアダルト番組を中心とした有料ビデオなどは無料で視聴できるサイトがいくらでもある事などが原因していると考えられます。
そのような環境下で、わざわざお金を払って見る宿泊者は当然少なくなって当り前と言えるでしょう。
一方、映画の視聴は圧倒的にVODが向いていると言えます。一般的にはホテルに設置したビデオサーバーにアクセスするのですが、ここが大きく変わろうとしています。
最近は若い人を中心に、スマホで見られる「dTV」とか「Netflix」などの格安VODサイトが人気を集めています。
ホテルで一晩VODを楽しむ費用が有れば、こちらは一か月間の視聴が可能なのです。
アダルト作品こそありませんが、作品数も圧倒的に多く、ホテルが提供するVOD作品の比ではありません。
こうしたサイトがミラキャスト/MHL対応機器により客室大型テレビで楽しめる時代がすぐそこまで来ています。
まさに、「コンテンツを持ち歩く時代になった」と言えると思います。
ホテル側でする事は、お客様のスマホなどがスムーズに接続出来る機器や環境を整える事になりそうです。
以上の様な理由で、「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と言われています。
今まで各VODメーカーは、如何に映画などの作品が充実しているか競って来たきらいが有りますが、今は、視聴の低いVOD作品を前面に出しても魅力に感じて頂けない事から、都会ではインバウンド対策も含め、ホテルインフォメーションや周辺情報の案内など、VODも楽しめる様々な情報伝達システムというフレーズで売込みが行われているようです。
今後のホテル映像情報システムは、VOD以外で役立つ機能をどこまで取り入れる事が出来るかで、明暗が分かれるかもしれません。
《以降は、現状のホテル映像情報システムについて、前回の内容を加筆修正しました》
「ホテルVODの時代も終焉を迎えている」と書いた後では有りますが、少しだけVODの現状について述べます。
以前の記事で、「これからのシステムでは、VODシステムであれデジタル変調器方式であれ、客室端末機(STB)は消えてなくなり、客室はスッキリとデジタルテレビのみになります。」と述べましたが、必ずしもそうとばかりではなさそうです。
STBは非常に小型化され、テレビの後ろに張り付けられた状態で存在するかもしれません。STBを使わないVODシステムは、テレビのアクトビラ機能を使っています。
アクトビラフルの機能を持ったテレビであれば、基本的にテレビにネットワークを接続するだけでOKです。
ただし、年式・機種によっては難しいものもあるようで、事前チェックが必ず必要になります。
また、付属のテレビリモコンを使用する場合は、買い替えなどで機種が替わるとボタンポジションや操作の仕方が変わってくるため、取扱い説明が複雑になります。
もちろん、専用リモコンをご用意することで解決しますが、その分ご負担も増える事になります。
放映するコンテンツから見ますと、STB仕様だとOKでもアクトビラ方式では特定の映画作品の許諾が取れず、放映できない問題もあります。
コンテンツ作品については、各メーカーで作品数、洋画・邦画・コメディ・アダルトなどの比率が違い、ランニングコストも違ってきます。単に作品数が多いだけよりも、内容の充実したメーカーを選ぶべきだと考えます。
現在、メーカーにもよりますが作品のハイビジョン化が進んでおり、その比率が多いこともメーカー選択条件として有利に働くと思います。
ハイビジョン化は、映画の場合許諾交渉が難しいようですが、アダルトコンテンツは比較的早い段階で全作品HD化が進むと思われます。
HD化されても、懸念されていたネットワークのトラフィック上の問題はさほどないようです。
H.264コーデックになった事や、皮肉な事に視聴率が低迷している事が幸いしているとも言えます。
もちろん幹線がギガビット仕様であることは言うまでもありませんが・・・・
課金は、各フロアに設置した課金機(視聴権販売機)に自身のルームナンバーを入力するだけですが、ルームナンバーを間違えるとフロントへ連絡して訂正してもらう必要があります。
もちろん、事前に視聴禁止ルーム設定されていると購入はできません。
また、従来のチケット販売機やプリペイドカード販売機でも対応出来ますが、操作性やランニングコストの面で不利になる場合もあります。
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