盗聴器の発見・調査相談について

盗聴器発見器なる機械のお話ではありません。
仕事をしていると、様々な場面で「盗聴器を仕掛けられているんじゃないか、調べてほしい」との依頼を受けた。
やはり、相談が多かったのはレジャーホテルである。
盗聴器が客室から発見された話が広まると、ホテルとしては死活問題だ。無頓着なオーナーもいたが、大抵は神経を尖らせていた。
市販の簡単な盗聴器発見器を片手に各部屋を回っているオーナーの姿が目に焼き付いている。

こちらに依頼を受けるのは、弊社がアンテナ共聴工事をしている関係上、盗聴電波の知識もあるんじゃなかろうかとの判断からだ。
盗聴器を発見できる技術があれば、理屈的に仕掛けることも容易なことは事実である以上、盗聴器発見の調査依頼があっても、会社の仕事としてお受けしない事にしていた。
そうしたことで、お受けする場合はお付き合い上、個人として無報酬でお受けする事にしていた。

色々な場面に遭遇したのが思い出される。
初歩的な例から、お話ししよう。

盗聴器発見の調査依頼事例:初歩的な盗聴器

あるホテルの駐車場で、オーナーがFMラジオを聞いていると、放送の聞こえ方がおかしいとの連絡を頂いた。
「もしや盗聴器が仕掛けられているんじゃないか」と疑いを抱いたからだ。

結果として、疑いは的中した。

発信源の客室を突き止め調べてみると、ナイトテーブルに米粒位の穴が開けられ、バラしてみると奥にFM発信機があった。
笑ってしまったのはその電源で、単1乾電池ホルダー10個が整然と並んでいた。

盗聴器発見の調査依頼事例:レシーバーが拾った音声

またある時、顧客先に向かっている時、突然レシーバーがフロントにチェックアウトの電話をしている音声を拾った。
ホテルに着いて、すぐフロントでどの部屋か確認して、退室後の客室を調べて盗聴器を発見した。
コンセントの裏側からクリップで電源を取った、黒くて小さな一種のプロ機であった。
周波数も全国で事例のあるものであったため、レシーバーのプリセットスキャンモードに引っかかった。

昔、レシーバーのスイッチをオンした状態でドライブしていると、あるマンションから電波が出ているのが確認できた。
半年たっても同じ場所から電波が出ていた。
こうした場所は、アマチュア無線をしている人の間では、知れ渡っているものの、誰も知らせる事などしない暗黙のルールがある様だった。

アマチュア無線の愛好家に誘われて、川沿いのホテル街に河原から八木アンテナを向けて、電波の発信部屋の特定をしている様子に立ち会った。
手造りの八木アンテナを傾けて電波強度を調べながら、発信機から垂れ下がっているアンテナ線は右に少し傾いているなどと、マニアックな会話をしていたのを覚えている。

盗聴器発見の調査依頼事例:変わり種の盗聴器

ホテルでは、変わり種も発見された。
一つは、800Mhz帯(通称B帯)ピン型ワイヤレスマイクを隠し置きしたものだ。
多少疑問なのは、音質はいいかもしれないが、ワイヤレスマイクの電源がどの位もつものか、仕掛けた者は短期決戦で回収するつもりだったのかもしれない。

盗聴器発見の調査依頼事例:堂々としていると逆に見つからない物である

もっと変わった物も発見された。
複数の客室からコンセントに刺さった電灯線型FMインターホンの子機がテレビの裏から発見された。
弁当箱位の大きさで、すぐ発見されるはずが、相当経ってから「これなに?」「調べてみて」となった。
箱には「さわるな」と書いていた。
メイクのおばちゃんはコンセントの刺さった箱が何か知る由もなく、支配人か出入り業者が設置したものと思い込み長く発見されなかった。
ここまで大胆に設置されると、返って発見されにくい事がある。
それにしても、仕掛けた犯人はとなりか近くの部屋に親機を繋いで聞いていたのか?
そういえばこのホテル、以前今は無きナピックシステム(電灯線高周波制御システム)なるものを導入頂き、電源の単相三線渡りをしていたので、電源相の違う部屋からも通信が取れたのかもしれない。

盗聴器発見の調査依頼事例:一般家庭での事例

一般家庭からも依頼があった。お断りしたかったのだが、ある取引先と縁故のある方なのでお受けした。
まず、電話線の引き込みボックスを調べたが、それらしいものはなかった。
そこで無線型盗聴器を疑い、スペクトラムアナライザー(通称スペアナ)を持参し、アンテナを接続して家庭内を検索。
スペアナは高価な機械で、この様な場面で使うものはないが、これがあると周辺の電波状況が一目瞭然確認できる。
屋内からそれらしい電波は確認できなかった。盗聴器は設置されていないとの結論になった。

しかし、何かしっくりしないとの事で屋外にも回り調べた結果、周波数は忘れたが波形からワイドバンドの信号が確認できた。
電波の出どころは、裏のマンションなどの入った複合ビルで、確認すると二階に無線型監視カメラが設置されていた。
テレビ信号であるが、スペアナでアナログ画像が復調できない。
NTSC信号であれば画像で確認できたのだが、おそらくPAL方式(ヨーロッパ仕様)のテレビ信号だと思われた。


最近は盗聴器の話題も少なくなった。代わりに盗撮用小型カメラがネット上に散乱している。
いずれにしても、弊社としては今後共、この分野とは一定の距離を置きたいと考えている。



2020年10月15日 | カテゴリー よもやま話