ホテルのテレビに映り込む不規則なノイズ(よもやま話)

最初にお断りしておきますが、アナログ放送時代の話である。

あるホテルのオーナーから“テレビの映りがおかしくなった。ノイズが入り、きれいに映らない”との連絡があり、早速お客様の元へ。
このホテルでは地上波の他にBS・CS放送も受信しており、自主放送も10波位流すなどテレビ共聴システムとしては、かなりハイレベルな設備である。

テレビ画面を覗くと確かに水平にノイズが現れている。しかも一定ではない。
複数のチャンネルで確認できる事から、VHFアンテナに飛び込んでくるノイズと推測できた。
その事から、建物のネオン管が切れてリークしている可能性があると考えたが、確認してみるとまだ明るい時間帯で、ネオンは点灯されていなかった。

ノイズ源は何か?
館内を探し回ったが確たる原因を見つけることができない。
共聴システムでは、ブースター(増幅器)や変調器、客室に設置されたコンバーター(チャンネルを変換する端末器)などが故障した際、発信現象を起こし、様々な周波数に影響を及ぼすことがある。
これらを一つずつ潰していったが、これといったノイズ源を見つけることができない。

困り果てて、少し頭を冷やそうと2階の渡り廊下へ出て、ぼんやり外を眺めていた。
辺りはまだ田園でのどかな風景が広がっている。
耕運機を押した農夫が隣の田んぼを耕していた。

その姿を眺めている時、ふと閃いた。そしてすぐに部屋へ入りテレビ画面を視た。
ノイズがある。じっと眺めていると徐々にノイズが薄くなり消えた。
すぐに渡り廊下に出た。耕運機は隣接の細長い田んぼの端の方に行っていた。
また部屋に戻り、テレビ画面を食い入るように眺めていると、徐々にノイズがひどくなる。
また渡り廊下へ飛び出してみると、先の耕運機が徐々に近づいている。
何度か確認したが、ノイズは耕運機の往復に同期している。
明らかに、ノイズ源はこの耕運機と言える。
よく見ると、かなりの年代物である。
こうした古い機械は、しばしばノイズを軽減するためのコンデンサーがパンクしていて、電波障害を起こす事がある。

ホテルのオーナーには、原因を説明して、もうすぐ耕運機も終わるのでテレビも綺麗に映りますよと言って現場を後にした。
時間をかけた割には、メンテナンス料を請求する訳にもいかず、何とも釈然としない思い出となった。

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2020年4月21日 | カテゴリー よもやま話